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【FF14】吉田P「何となく違うんだよなぁという曖昧なダメ出しにはイライラする」
吉田 自分が考えたこと、考えていること、感じたことを一生懸命説明する、というのがひとつ。もうひとつは物事の方向性、コンセプト、仕様など、あらゆる決断を迫られたときに「濁さずに決める」こと。このふたつを大切にしています。何かを決める、というのはすごく怖いです。それは今も変わりません。でも責任者の仕事は決断すること。それで物事を決めたら、その決断の理由をキチンと説明する。だから僕は、今でもスタッフと話をしたりメールで返事を戻す際には、説明を徹底するように心がけています。最初は大変ですが、理解が進めばそれだけ決断の結果は早く出てくることになります。
――説明する、というのは具体的にはどういうことでしょう。
吉田 たとえばアーティスト(デザイナー)が作ってくれた、新しいマップのビジュアルをチェックして修正ポイントを伝えるとします。でも僕には絵の才能が全くないので、自分で「こんな感じ」と描いて伝えることはできません。だからこのビジュアルの目指す目的は何で、そのために何が必要で、今の状態だと何が足りないと感じていて、何が余計と感じるのか、どう変えれば良くなるかを、理論立てて具体的に根気よく説明しないと、僕がイメージしているものに近づけられない。相手が納得してくれるまで、説明が必要だと思っているんです。僕は直接的な作業者ではないからこそ、何としても自分が持っているイメージを伝え、相手の能力でそれを表現してもらうしかない。他の業界でもあることかもしれませんが、ゲーム業界にも「何となく違うんだよなぁ」という曖昧なダメ出しをする人がいます。僕も自分でデータを作り、スクリプトを書き、テキストを書いてきましたが、そういった曖昧なフィードバックに、ずっとイライラしてきた経験があります。自分はそう思われたくない! という恐怖心が、僕を支えてくれています(笑)。